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笑いって大切/【脳が壊れた】

先日こちらのコラムを読んで→【脳が壊れた-ルポライターのその後】

即買いした書籍【脳が壊れた】がメチャメチャ面白い!

 

私の母が《硬膜脳動静脈奇形》という早口言葉のような脳血管疾患で

脳内出血を起こしたのが10年ほど前。

外出先で倒れているのを発見され救急搬送され、連絡を受けた身内も

倒れた当人も慌てふためき右往左往した経験があります。

 

そしてスタジオに通ってくださるお客様の中にも

昨年40代で視床出血という脳卒中を発症した女性(M様)がいらっしゃいます。

 

幸いなことに命に別状が無かった。無事生還したてよかったね!

と、家族や友人はホッとし、麻痺や言語障害があったとしても

生きて自力歩行出来て喋れるんだから良いじゃない?

と、周りは生きているだけでありがたいよと思いますが

当人にとってはある日、目を開けたら全くの別世界!

何もかもが感覚が違う!元に戻りたい!】と思う当人とでは

身体機能だけでなく、病後の感覚にも相当なギャップと苦しみがあるようなのです。

 

母もM様も片側に麻痺はありますが、外見上はほとんど判りません。

 

母は失語症という言語障害の後遺症で障害者手帳も持っていますが、かなり喋れます。

でも、読めません。かなり書けるようになりましたけど、読むのは苦行みたいです。

(簡単な英語は喋れるけど、正しい読み書き出来ないみたいな感じ)

 

M様は退院後すぐにジャイロトニックのレッスンに復活しましたが

元々左利きの手も自力では動かす感覚が薄く、ケーブルのサポートで動かしていた左手も

一年経過した今ではスムースにハンドルを回す事も出来るようになりました。

病後めまいに悩んでますが、まっすぐ歩けます。

 

そんな二人の様子を見ていると何の問題も無いように見えますが、そこが難しい後遺症!!

 

【脳が壊れた】の著者が笑いを交えつつも克明に記録している事と

母やM様の【こんな事が出来ない〜】と言っている事の多くが同じです。

それは見た目には判らない後遺症。健常と障害のグレーゾーン。

たとえば、レジ前で小銭入れパンパンなのに妙に手間取って

挙げ句の果てに300円ものに1万円出したり

早足でスタスタ歩いているのに、右側にどんどん寄って行って

自分からは人を避けずぶつかったり、電車のホームから落ちるんじゃないか?!ってことが度々あったり。

もの凄く解りやすいはずの道や看板を見落として迷ったり。

こういうの、はた目には『なんで?!アノ人、変なの(*_*)…』と思われがちですが

当人も家族も《あるあるネタ》だー!と思う事が沢山出てきます。

 

どうやら感覚としては、不慣れな土地の海外旅行中みたい。

お金(特に小銭問題)は指先の感覚が曖昧な事だけでなく、細かい数字が数えられない!とか

(海外のお金って、小銭を瞬時に判断するの難しくないですか?)

右(あるいは左)の視野が半分欠けていて見えていないのでぶつかる事も多いし

視野の問題にプラスして看板の文字などが外国語に見えて認識できないとか。

(ドイツ語で自動車修理工場とか書いてあっても、なかなか読めませんよね(^_^;))

 

海外で地図を持ってきょろきょろしていれば『旅行者かな』と親切に対応される事もありますが

日本人が日本のスーパーマーケットで小銭に手間取っていたり

人にぶつかるようにして何度も怪しくうろついていたら、ちょっと挙動不審ですよね。

 

でも、こういう事を知っていると、外出先で《ちょっと挙動不審》な人を見かけても

『あれ?ひょっとして見えない障害を持っているのかな?』と

レジ待ちでもちょっと待ってみたり、道を譲ったりと優しくなれます。

(本当に挙動不審人は避けますけど・・・私は都心を殺気立って歩く会社員の方が怖いです(^_^;))

 

身近にこういった後遺症を持った人がいるお陰で、脳卒中など限らず

【見えない障害】という事に苦しんでいる人が多いという事を実感できます。

明日は我が身。

もっと書きたい事、言いたい事もあるけれど、コレ読んだ方が面白い!!

我が身にも家族友人知人にも起こって欲しくは無いけれど、当事者になった時の気持ちを

笑いながら考える事ができる、人生の参考書かも?

病気の事って暗くなりがちですが、かなり笑える内容!人間、笑えるって大切です。

リハビリ従事者、ボディーワーカーには特にオススメです!

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*M様の症状の件、ご本人の許可を得て記載させていただきました。M様ありがとうございます。

同じような見えない苦しみに悩む方々が、この本の存在を知り少しでも共感し笑えますように♪